SUR PAROLE

言葉にのって

『ホビット 思いがけない冒険』における毎秒48フレームの高速度撮影について

本日『ホビット 思いがけない冒険』を鑑賞。
ストーリーの要約は切込隊長に任せるとして、同じピーター・ジャクソンが作った作品であるものの、総合的には『ロード・オブ・ザ・リング』に遠く及ばない出来栄えだった。

確かに3Dのクオリティも高かったし、CGの技術は目を見張るものがあった。
とはいえ、個人的に毎秒48フレームの高速度撮影で撮られた映像はファンタジーにあまり向いていないと感じた。全ての映像がクリアすぎて陰影がなく、まるで安っぽいテレビドラマのように見えるシーンも少なくなくて、良質な世界観が損なわれてしまっていたのが本当に残念でならない。

「映画だからフィルムで撮れ」などと言うつもりは毛頭ないし、
そもそも「ロード・オブ・ザ・リング」 がデジタルで撮られていたのだから今回の失敗はデジタルであった事が原因ではない。

むしろ、リアリズムを追求する方向性が適切でなかった。
ハイレートでの撮影は人間の肉眼の視覚体験に近付ける事にはなるけれども、
ファンタジーの意味がそもそも「空想」である事からもわかるように、
このジャンルで必ずしも視覚的なクリアさを追求する必要はなかったのではないだろうか。

ちなみにうちの4歳の娘は「ロード・オブ・ザ・リング」を先日見た時、
あまりの恐怖に号泣しながら失禁しておりました。
まさか初めて「恐怖で失禁」という漫画的オモシロ展開を父の前で見せるとは思いも寄りませんでしたが、そのくらい「ロード・オブ・ザ・リング」の全体的な完成度が高かったため今回の『ホビット 思いがけない冒険』にはやや失望したというのが正直な所。
なんだかんだ言って次回作も見に行ってしまいそうですが。 

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